アキレス腱断裂
このような症状はありませんか?
- スポーツ中にふくらはぎを後ろから蹴られたような衝撃を感じた
- 受傷時に「バチッ」「ブチッ」という鈍い破裂音がした
- 歩くことはできるが、つま先立ちができない
- アキレス腱のあたりを触るとへこんでいる(隙間がある)
- 足首を下に曲げる力が極端に弱くなった
- ふくらはぎからかかとにかけて内出血や腫れがある
- 痛みのせいでスポーツへの復帰に不安を抱えている
これらの症状が続く場合は、アキレス腱断裂の可能性があります。
アキレス腱断裂とは
ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)とかかとの骨(踵骨)を結ぶ、人体で最も太く強い腱である「アキレス腱」が切れてしまう疾患です。
ジャンプやダッシュ、急な方向転換など、アキレス腱に急激な強い張力が加わった際に発生しやすく、特に30〜50代のスポーツ愛好家(週末にスポーツをする方など)に多く見られます。
症状の特徴・進行
アキレス腱断裂の最大の特徴は、受傷時の「後ろから蹴られたような感覚」や「ボールが当たったような衝撃」です。
その際、「バチッ」という断裂音(ポップ音)を伴うことも少なくありません。
驚くべきことに、断裂していても他の筋肉を使って歩行できることが多く、激しい痛みも受傷直後を過ぎると和らぐことがあります。
そのため、「ただの肉離れや捻挫だろう」と自己判断して受診が遅れるケースも見受けられます。
しかし、アキレス腱が切れているため「つま先立ち」はできなくなります。
適切な治療を行わずに放置すると、腱が緩んだ状態で癒着してしまい、永続的な歩行障害やスポーツへの復帰が困難になるため、早期の診断と治療が極めて重要です。
検査・診断方法
アキレス腱断裂の診断では、まず受傷時の状況(どのような動作で起きたか、音はしたかなど)について詳しくお伺いします。
その後、患部の触診を行い、アキレス腱のへこみ(陥凹)の有無を確認します。
また、うつ伏せでふくらはぎをつまみ、足首が自然に動くかを確認するテスト(トンプソンテスト)を行い、断裂を評価します。
当院ではレントゲン検査を行い、アキレス腱が付着するかかとの骨が剥がれる「裂離骨折」などが起きていないかを確認します。
腱の断裂部位や程度(完全断裂か部分断裂か)をより正確に把握するため、必要に応じてエコー(超音波)検査やMRI検査をご案内しています。
MRI検査が必要と判断した場合は、近隣の提携医療機関をご紹介し、当院で予約の手続きを行います。
検査結果をもとに、今後の治療方針について分かりやすくご説明いたします。
当院での治療方法
アキレス腱断裂の治療には、大きく分けて「保存療法(手術をしない方法)」と「手術療法」があります。患者様の年齢、活動レベル、スポーツ復帰の希望などに合わせて最適な方針をご提案し、改善を目指します。
薬物療法
受傷初期の強い痛みや炎症を和らげるために、消炎鎮痛薬などを使用します。痛みを抑えることで、その後の固定やリハビリテーションへの移行をスムーズにします。
保存療法(装具・ギプス固定)手術後のフォロー
当院では、手術を行わずにギプスや専用のブーツ型装具を用いて、つま先下がりの状態で固定し、腱の自然治癒を待つ「保存療法」の管理を行っています。手術の傷跡が残らず感染リスクがないのがメリットですが、治療期間がやや長くなる傾向があります。
また、早期のスポーツ復帰を目指して提携病院で「手術療法(腱の縫合)」を受けられた後の、抜糸後・退院後のリハビリテーションも当院でしっかりとお引き受けいたします。
理学療法・リハビリテーション
アキレス腱断裂において、保存療法・手術療法のどちらを選択しても、その後の理学療法・リハビリテーションが最も重要になります。当院ではこのリハビリに特に力を入れています。
長期間の固定によって硬くなった足首の可動域訓練から始まり、ふくらはぎの筋力回復、正しい歩き方の獲得へと段階的に進めます。
再断裂を防ぐためには、単に筋力を戻すだけでなく、足首・膝・股関節など全身の連動性や、正しい身体の使い方の再学習が不可欠です。
理学療法士が一人ひとりの回復状態や競技特性に合わせた運動療法とセルフエクササイズの指導を行い、「安全な日常生活への復帰」から「スポーツ復帰」までを強力にサポートします。
日常生活での注意点(予防と対策)
アキレス腱断裂の治療には、大きく分けて「保存療法(手術をしない方法)」と「手術療法」があります。患者様の年齢、活動レベル、スポーツ復帰の希望などに合わせて最適な方針をご提案し、改善を目指します。
- 運動前のウォーミングアップを念入りに 特に久しぶりにスポーツをする際(週末のみの運動など)は要注意です。ふくらはぎやアキレス腱のストレッチを含め、時間をかけて身体を温めてから動くようにしましょう。
- アキレス腱の違和感を放置しない 断裂の前に、アキレス腱炎(腱の痛みや腫れ)などの前兆がある方もいます。痛みや違和感がある時は無理をせず、運動を控えて休ませることが大切です。
- 治療中は指示された固定期間を守る 保存療法や術後のリハビリ期間中は、腱がまだ十分に強くありません。「痛くないから」「歩けるから」と自己判断で装具を外したり、無理に体重をかけたりすると再断裂の危険があります。医師や理学療法士、柔道整復師の指示を必ず守りましょう。
- 靴の選び方とインソールの活用 スポーツ時や日常生活において、クッション性の高い靴や、かかとを少し高くするインソール(ヒールパッド)を使用することで、アキレス腱への負担を軽減できます。
当院では、治療だけでなく、スポーツ復帰に向けた具体的なステップアップの方法や、ご自宅でできる再発予防の運動についてもアドバイスを行っています。焦らず確実に、一緒に取り組んでいきましょう。
よくある質問
手術しなくても治りますか?
はい、治ります。
ギプスや専用装具で適切な期間固定する「保存療法」でも、アキレス腱は癒合(くっつく)します。
手術に比べて感染症などのリスクがない一方、再断裂の確率がわずかに高いとも言われています。
患者様のライフスタイルやスポーツへの要望をお聞きした上で、最適な治療法を一緒に決定します。
歩けるのですが、それでもアキレス腱が切れていることはありますか?
よくあるケースです。
アキレス腱が切れていても、ふくらはぎの奥にある別の筋肉や、足の指を動かす筋肉を使って歩くことができる場合があります。
しかし「片足でのつま先立ち」はできません。歩けるからといって放置せず、早めの受診が重要です。
スポーツに復帰できるまでどのくらいかかりますか?
競技内容や治療法(手術か保存か)にもよりますが、軽いジョギング開始まで約3〜4ヶ月、元のスポーツへ完全に復帰するまでには約5〜6ヶ月程度かかるのが一般的です。
焦って早期に復帰すると再断裂のリスクが高まるため、リハビリの段階を踏むことが大切です。
アキレス腱断裂は痛いですか?
受傷した瞬間は「バチッ」という音とともに強い衝撃と痛みを感じますが、しばらくすると痛みがスッと引いて歩けるようになることも多いです。
そのため、重症だと思わずに受診が遅れるケースがあります。
再断裂を防ぐにはどうすればいいですか?
最も再断裂が起きやすいのは、治療過程の途中(癒合し始めの時期)で無理な負荷をかけた時や、十分な筋力が戻る前にスポーツに復帰した時です。
医師や理学療法士、柔道整復師の許可が出るまでは無理な動作を避け、リハビリでふくらはぎの筋力と柔軟性をしっかり回復させることが最大の予防になります。
受診目安
以下のような症状がある場合は、アキレス腱断裂の疑いがあるため、できるだけ早めの受診をおすすめします。
- ふくらはぎを後ろから蹴られたような衝撃を受けた
- 受傷時に「ブチッ」という音がした
- 歩くことはできるが、つま先立ちができない
- アキレス腱のあたりがへこんでいる
自己判断で放置すると、治療期間が長引くだけでなく、後遺症が残るリスクがあります。気になる症状がある方は、速やかにご相談ください。

