石灰沈着性腱炎
このような症状はありませんか?
日常のなかで、以下のような突然の肩の激痛に苦しんでいませんか?
- 【夜間に突然襲ってくる激痛】
昨日まで何ともなかったのに、夜中や明け方に突然、肩に刺すような激痛が走り目が覚めた。 - 【痛くて肩を1ミリも動かせない】
激痛のあまり、服を着替えることも、腕を体から離すこともできない。 - 【肩が熱を帯びて腫れている】
肩の特定の部分を押すと飛び上がるほど痛く、熱感がある。 - 【寝返りが打てない】
痛む側の肩を下にして寝ることができず、体勢を変えるだけで激痛が走る。
石灰沈着性腱炎とは?
40〜50代の女性に比較的多く発症します。
なぜ石灰が溜まるのかの明らかな原因は完全には解明されていませんが、腱の加齢や血流低下が関係していると考えられています。
主な原因
腱の変形と血流低下
加齢や肩の使い過ぎにより、腱の組織が変性し、代謝が低下してカルシウムが排出されずに留まってしまうこと。
ホルモンバランスの影響
中高年の女性に多いことから、代謝やホルモンの変化も関与していると推測されています。
症状の特徴・進行
発症の経過によって大きく3つのタイプに分かれます。
1. 急性型(最も多い)
突然の激痛で始まり、2〜4週間ほど強い炎症が続きます。痛みで腕が全く動かせなくなります。
2. 亜急性型
中程度の痛みが約1〜3ヶ月間だらだらと続き、肩を上げるときに引っかかり感や痛みが出ます。
3. 慢性型
重苦しい痛みが半年以上続き、運動時の痛みや可動域制限(肩が上がらない状態)が定着します。
検査・診断方法
石灰沈着性腱炎は、画像検査で非常に明確に診断がつきます。
- 【レントゲン(X線)検査】
診察において決定的な検査です。肩の筋肉の中に白い影(石灰の塊)がはっきりと写し出されます。 - 【超音波(エコー)検査】
石灰が存在する正確な深さや大きさ、周囲の炎症の広がり、腱の損傷状況をリアルタイムで詳細に評価します。
当院での治療方法
急性期の「激痛の早期遮断」と、その後の「可動域を取り戻すリハビリ」の2段階で行います。
1. 急性期の消炎・除痛療法
- 【注射療法】
激痛の段階では、超音波(エコー)で確認しながら、石灰が存在する部位やその周囲(滑液包)へ局所麻酔薬やステロイドを注入し、速やかに激しい炎症と痛みを抑えます。 - 【消炎鎮痛剤の処方】
痛みを抑えるお薬や湿布を処方します。
1. 専門リハビリテーション(回復期)
痛みが引いた後は、固まってしまった肩の関節をほぐすリハビリが必須です。
- 【可動域訓練】
激痛期に動かせなかったことで硬くなった肩関節や筋肉を、理学療法士・柔道整復師が手技で優しく拡げていきます。 - 【トレーニング】
インナーマッスルを鍛え、肩の正しい動きを取り戻し、再発を防ぎます。
日常生活での注意点
- 【急性期(激痛時)は無理に動かさない】
「固まるから」と激痛に耐えて無理にストレッチをすると炎症が悪化します。 - 【痛みが落ち着いたらしっかり動かす】
炎症が収まったら、自己判断で放っておかず、リハビリで肩の可動域をしっかり戻さないと「四十肩・五十肩(拘縮肩)」のように肩が上がらなくなってしまいます。
よくある質問
溜まった石灰は自然に消えますか?
体の吸収作用によって、自然に石灰が小さくなったり消えていくケースも多くあります。ただし、石灰が残ったままでも炎症さえ収まれば痛みなく生活できるようになることも多いです。
食事でカルシウムを控えれば予防できますか?
食事から摂取するカルシウムの量と、肩に石灰が溜まることには直接の関係はありません。健康のために必要なカルシウムの摂取を控える必要はありません。
受診目安
すぐに受診が必要な状態
- 夜間に突然激痛が走り、痛くて全く眠れない。
- 腕を少し動かすだけで激痛が走り、服の脱ぎ着もできない。
近いうちに受診をお勧めする状態
- 肩を上げるときに奥の方がピキッと痛み、特定の角度で引っかかる。
まとめ
石灰沈着性腱炎は非常に激しい痛みを伴いますが、適切な処置を行うことで急速に痛みを抑えることが可能な疾患です。
また、痛み軽減後のリハビリテーションによって肩の動かしにくさ(拘縮)を防ぐことが極めて重要となります。
激しい肩の痛みに襲われた際は、我慢せずすぐに当院を受診してください。

