膝半月板損傷

膝半月板損傷(ひざはんげつばんそんしょう)

このような症状はありませんか?

日常のなかで、以下のような膝の違和感や痛みに悩まされていませんか?

  • 引っかかり感: 膝の曲げ伸ばしをするときに、何かが挟まっているような違和感や「コキッ」「ポキッ」といった音がする。
  • 膝の腫れ・水が溜まる: 膝全体が腫ぼったく、熱を持っている。病院で「膝に水が溜まっている」と言われたことがある。
  • ロッキング現象: ある角度から膝が急に動かなくなり、激痛を伴って伸ばせなくなる。
  • 階段や段差での痛み: 階段の上り下りや、床からの立ち上がり、深くしゃがみ込む動作のときに膝の隙間に鋭い痛みが走る。

これらはすべて、膝の中にあるクッション「半月板」が傷ついているサインかもしれません。

膝半月板損傷とは?(疾患の概要)

膝関節の中には、太ももの骨(大腿骨)とすねの骨(脛骨)の間に「半月板(はんげつばん)」という軟骨に似た組織が内側と外側に一つずつあります。アルファベットの「C」や「O」のような形をしており、主に以下の重要な役割を担っています。

  • 衝撃吸収(クッション): 体重がかかったときの衝撃を分散し、骨の表面を覆う軟骨を守ります。
  • 関節の安定: 関節の適合性を高め、膝のぐらつきや異常な動きを抑えます。

半月板の一部に亀裂が入ったり、破片がめくれたりした状態を「半月板損傷」と呼びます。半月板の大部分には血管が通っていないため、一度深く傷つくと自然に元通りに治ることが難しいという特徴があります。

主な原因

半月板が傷つく原因は、年齢や活動量によって大きく2つに分けられます。

1. スポーツやケガによるもの(若年層に多い)

サッカー、バスケットボール、バレーボール、スキーなどのスポーツ中に多く発生します。
ジャンプの着地、急な方向転換、ダッシュからのストップ、他プレーヤーとの接触などで、膝に体重がかかった状態で強い「捻り(ひねり)」の負荷が加わることで半月板が破れてしまいます。
靭帯損傷(前十字靭帯断裂など)を合併することも少なくありません。

2. 加齢による変化(中高年層に多い)

年齢とともに半月板自体の水分が失われ、徐々に脆く(もろく)なっていきます(変性断裂)。
この状態になると、スポーツをしていなくても、「階段を上る」「床から立ち上がる」「重い荷物を持ち上げる」といった日常生活の何気ない動作だけで、気づかないうちに半月板が傷ついてしまうことがあります。

症状の特徴・進行

半月板損傷は、放置すると段階的に悪化し、将来的なリスクを高めてしまいます。

  • 初期段階: 運動時や特定の動作のときだけチクッと痛む程度で、安静にしていると痛みが引くため「ただの疲れかな」と見過ごされがちです。
  • 中期段階: 破れた半月板が関節を刺激し、慢性的な炎症が起きます。これにより「関節液(水)」が溜まり、膝全体の重だるさや、膝が曲がりにくくなる可動域制限が現れます。
  • 重症段階(ロッキング): 剥がれた半月板の断片が関節の隙間に完全に挟まると、膝がある角度から全く動かなくなる「ロッキング」が起きます。歩行困難になるほどの激痛を伴います。
  • 長期的なリスク: 半月板のクッション機能が失われたまま過ごすと、骨の表面にある軟骨の摩耗が急速に進行します。その結果、将来的に骨が変形して強い痛みを伴う「変形性膝関節症(へんけいせいしざかんせつしょう)」へと移行するリスクが跳ね上がってしまいます。

検査・診断方法

的確な治療を行うために、当院では以下のプロセスで精密な診断を行います。

  • 問診・触診: どのような状況で痛むかを詳しく伺い、膝を手で触れて痛む部位を確認します。また、膝を捻ったり曲げたりして痛みやクリック音が出るかをみる整形外科テストを行います。
  • レントゲン(X線)検査: レントゲンには半月板自体は写りません。しかし、骨と骨の隙間の広さを確認することで軟骨の減り具合を調べたり、骨折やその他の骨の異常がないかを識別するために必須の検査です。
  • MRI検査: 半月板損傷の診断において最も重要な精密検査です。 軟部組織を鮮明に写し出せるため、半月板のどこが、どのように、どの程度傷ついているかを正確に把握することができます。

当院での治療方法

当院では、「徹底した専門リハビリテーション」と「切らずに治す保存療法(投薬、関節注射による疼痛・炎症のコントロール)」を治療の核としています。

専門リハビリテーション

当院の治療の最も重要な部分です。理学療法士・柔道整復師が患者様一人ひとりの状態に合わせたマンツーマンのリハビリを行います。

  • 筋力トレーニング:「大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)」や臀部の筋肉を鍛え、半月板にかかる負担を大幅に軽減させます。
  • 可動域訓練・ストレッチ: 痛みのせいで硬くなってしまった膝関節や周囲の筋肉をほぐし、スムーズな曲げ伸ばしを取り戻します。
  • 動作分析・指導: 膝に負担をかけている「歩き方の癖」や「スポーツ動作」を分析し、再発しない体の使い方を身につけていただきます。

日常生活での注意点

膝への負担を減らし、痛みの悪化や再発を防ぐために、日常生活では以下の3点に気をつけましょう。

  • 床生活から椅子生活へのシフト:正座、あぐら、横座り、和式トイレなどの姿勢は、半月板に非常に強いストレスを与えます。椅子、洋式トイレを使用しましょう。
  • 適切な体重管理:歩行時には体重の約3倍、階段の上り下りでは約3〜5倍の負荷が膝にかかります。「体重を1kg減らす」ことで、歩行時には約3kg分、階段では最大5kg分の負担を毎回減らすことができます。
  • 靴の選び方とインソールの活用:底が硬い靴やヒールは避け、クッション性の高いスニーカーを選びましょう。また、O脚など足の傾きがある場合は、靴の中に敷くインソール(足底挿板)を作ることで、膝の内側にかかる負担を外側に逃がすこともできます。

よくある質問

膝半月板損傷は自然に治りますか?

半月板は血管が通っていない部分が多く、一度完全に切れてしまった組織が自然にくっついて元通りになることはほとんどありません。湿布で一時的に痛みが引いても、根本的な原因(筋力低下や負担のかかる動作)が解決していないと、関節軟骨の摩耗が進んでしまうため、早期の専門リハビリをお勧めします。

普通に歩くことはできるのですが、受診した方が良いですか?

はい、受診をお勧めします。半月板を損傷していても「まっすぐ歩く分にはそれほど痛くない」というケースはよくあります。しかし、階段やひねる動作で急に痛んだり、ある日突然ひっかかって動かなくなったり(ロッキング)することがあります。今のうちから状態を把握しておくことが大切です。

高齢でもリハビリで効果はありますか?

もちろん効果があります。ご高齢の方の半月板損傷(変性断裂)は、周囲の筋力低下が痛みを引き起こしているケースが非常に多いです。リハビリによって膝を支える筋力をつけることで、半月板にかかるクッションの役割を筋肉が肩代わりしてくれるようになり、多くの患者様が手術をせずに痛みを改善されています。

リハビリはどのくらい続ければ良くなりますか?

症状や生活環境によって個人差がありますが、一般的には数か月単位で継続的な治療や運動療法・リハビリが必要となることが多いです。症状の改善だけでなく、再発予防や将来的な機能維持も大切な目的となります。

受診目安

「病院に行くべきか迷う」という方は、以下の目安を参考にしてください。

すぐに受診が必要な状態

  • 膝が急にロックして動かなくなった、伸ばせない。
  • 膝に強い熱感があり、明らかに左右で太さが違うほど腫れている。
  • 痛みのせいで足を地面について歩くことができない。

近いうちに受診をお勧めする状態

  • 湿布を貼っているが、2週間以上痛みが続いている。
  • 階段の上り下りや、立ち上がるときに毎回膝の奥がピキッと痛む。
  • 歩いているときに膝が「カクッ」と抜けるような不安感がある。

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