鵞足炎
このような症状はありませんか?
- 膝の内側から少し下にかけて痛みがある
- 階段の昇り降りで膝の内側が痛む
- ランニングや歩行中、またはその後に痛みを感じる
- 膝を曲げ伸ばしすると引っかかるような痛みが走る
- 運動後や夕方になると膝の内側が腫れたり熱を持ったりする
- 膝の内側下部を指で押すと痛み(圧痛)がある
- 痛みのせいでスポーツや趣味の運動をあきらめている
鵞足炎とは
膝の内側下部にある「鵞足(がそく)」と呼ばれる部分(縫工筋、薄筋、半腱様筋という3つの筋肉の腱が集まる場所)や、その周囲にある滑液包(摩擦を減らす袋)が炎症を起こす疾患です。
腱の集まる形がガチョウの足に似ていることから、この名前がついています。
症状の特徴・進行
鵞足炎の主な症状は、膝の内側やや下周辺の痛みです。特に膝の曲げ伸ばしを繰り返す動作、例えばランニングやジャンプ、階段の昇降、急な方向転換などで痛みが強くなるのが特徴です。
初期は運動時や運動後に軽い痛みや違和感を感じる程度ですが、進行すると歩行時や安静時にも痛みが出るようになります。また、患部を押すと強い痛み(圧痛)を感じたり、熱を持って腫れたりすることもあります。
症状を放置して痛みをかばう動作が続くと、股関節や腰、反対側の足など他の部位にも負担がかかる場合があります。
早期に原因となる身体の使い方を見直し、適切な治療や理学療法を行うことが大切です。
検査・診断方法
鵞足炎の診断では、まず現在の症状やスポーツ歴、日常の活動量について詳しくお伺いします。その後、患部の圧痛の部位、膝や股関節の動き、筋肉の柔軟性、歩行や姿勢などを確認し、症状の原因を評価します。
当院では、変形性膝関節症や半月板損傷など、他の膝の疾患が隠れていないかを確認するためにレントゲン検査を行うことがあります。しかし、腱や滑液包の微細な状態や炎症はレントゲンだけでは詳しく分からないため、必要に応じてエコー(超音波)検査やMRI検査をご案内しています。
MRI検査が必要と判断した場合は、近隣の提携医療機関をご紹介し、当院で予約の手続きを行います。検査結果をもとに、症状の原因や今後の治療方針について分かりやすくご説明いたします。
膝の痛みにはさまざまな原因があるため、正確な診断を行うことが適切な治療への第一歩となります。
当院での治療方法
鵞足炎の治療では、患者様一人ひとりの症状やスポーツへの取り組み、生活スタイルに合わせて、薬物療法・注射療法・理学療法を組み合わせながら改善を目指します。
薬物療法
痛みや炎症を和らげるために、消炎鎮痛薬(内服薬や湿布・塗り薬)などを使用します。
症状の程度やお身体の状態を考慮しながら処方を行います。
注射療法
痛みや炎症が強い場合には、症状の軽減を目的として患部への注射療法を行うことがあります。
痛みを抑えることで日常生活を送りやすくし、理学療法やリハビリテーションを進めやすい状態を目指します。
理学療法
当院では、鵞足炎に対する理学療法・リハビリテーションに特に力を入れています。
痛みのある部位だけでなく、太ももや股関節、足首の柔軟性、骨盤の傾き、動作(歩き方やランニングフォーム)などを評価し、症状の根本的な原因(オーバーユースや身体の使い方の癖など)にアプローチします。
理学療法士が一人ひとりのお身体の状態に合わせたストレッチや運動療法、テーピング指導、正しい身体の使い方の指導を行い、症状の改善だけでなくスポーツへの復帰や再発予防をサポートします。
「痛みなく走れるようになりたい」「スポーツを楽しみたい」「根本的に身体の使い方を改善したい」といった目標に向けて、患者様と一緒に取り組んでいきます。 鵞足炎は多くの場合、適切な保存療法と理学療法によって症状の改善が期待できます。まずはお気軽にご相談ください。
日常生活での注意点
鵞足炎は、スポーツでの使いすぎ(オーバーユース)や、日常生活での身体の使い方によって症状が変化することがあります。治療とあわせて、普段の習慣を見直すことも大切です。
- 【運動量や強度を調整する】
痛みが強い時期は、ランニングなど膝に負担のかかる運動を控えるか、量を減らしましょう。
無理をせず適度に患部を休ませることが回復への近道です。 - 【適切なストレッチを継続する】
太ももの裏側(ハムストリングス)や内側(内転筋)の筋肉が硬くなると、鵞足への負担が増加します。
運動前後やお風呂上がりなどに、無理のない範囲でストレッチを継続することが大切です。 - 【足に合った靴やインソールを選ぶ】
クッション性の落ちた靴や足に合わない靴は、膝への衝撃を強めます。
靴の見直しや、足のアーチを支えるインソール(中敷き)を活用することで膝への負担が和らぐ場合があります。 - 【良い姿勢と正しいフォームを意識する】
腰への負担を減らすためには、日常生活での姿勢や動作も重要です。
立ち上がりや歩行、梶動作などで無理な姿勢が続かないよう注意しましょう。 - 【自己判断で我慢しない】
痛みを我慢して運動を続けると、炎症が慢性化して治りにくくなることがあります。
痛みが強くなったり、長引いたりする場合は早めに医療機関へご相談ください。
当院では、治療だけでなく日常生活での注意点やご自宅でできる運動についてもアドバイスを行っています。
症状の改善と再発予防に向けて、一緒に取り組んでいきましょう。
よくある質問
鵞足炎は自然に治りますか?
一時的な炎症であれば、安静にすることで症状が軽くなることはあります。しかし、原因となっている筋肉の硬さや身体の使い方(フォーム不良など)が改善されていないと、運動を再開した際に再発することが多くあります。そのため、症状が続く場合は適切な治療やリハビリを受けることが大切です。
当院では、お身体の状態を丁寧に評価し、症状の改善と再発予防を目指した理学療法・リハビリを行っています。
運動やスポーツは続けても大丈夫ですか?
痛みの程度によりますが、痛みが強い時期は運動の制限や一時的な休止が推奨されます。
無理に続けると症状が悪化し、回復に時間がかかることがあります。
当院ではお身体の状態を評価したうえで、どの程度の運動なら可能か、具体的なアドバイスを行っています。
手術をしないと治りませんか?
鵞足炎で手術が必要になることは極めて稀です。
ほとんどの場合、薬物療法や理学療法・リハビリテーション、ストレッチ、運動量の調整などの保存療法で日常生活やスポーツに支障のない状態を目指すことができます。
ストレッチは痛くてもやった方がいいですか?
痛みを強く伴う無理なストレッチは、かえって筋肉や腱を傷め、症状を悪化させることがあります。「痛気持ちいい」と感じる程度の強さで、反動をつけずにゆっくりと伸ばすことが重要です。
膝の痛みがなくても鵞足炎の可能性はありますか?
鵞足炎は「膝関節そのもの」ではなく、膝の内側下部(関節の外側)に痛みが出ます。そのため、関節内の痛み(歩くたびに軟骨が響くなど)はなくても、特定の筋肉を使った時や患部を押した時に痛みが出るのが特徴です。
どのくらいリハビリを続ければ良くなりますか?
症状の程度やスポーツの強度によって個人差がありますが、一般的には数週間から数か月単位での治療やリハビリが必要になることが多いです。
症状の改善だけでなく、再発しにくい身体づくりやフォーム改善も大切な目的となります。
鵞足炎と変形性膝関節症の違いは何ですか?
変形性膝関節症は、加齢などで関節の軟骨がすり減り、関節内に炎症や変形が起きる疾患です。
一方、鵞足炎は筋肉の腱や滑液包の炎症であり、軟骨のすり減りとは異なります。ただし、変形性膝関節症に伴って歩き方が悪くなり、二次的に鵞足炎を併発することもあります。
受診目安
以下のような症状がある場合は早めの受診をおすすめします。
- 膝の内側やや下に痛みや腫れがある
- 階段の昇り降りやランニングで痛みが強くなる
- 運動後の痛みがなかなか引かない
- 膝を動かすと引っかかるような違和感や痛みがある
- 痛みのせいで思い切りスポーツや運動ができない
症状を我慢していると日常生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。

